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仕事 書評

【書評の2冊目】Why Digital Matters? - “なぜ”デジタルなのか

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1.「Why Digital Matters? - “なぜ”デジタルなのか」を要約すると

要約

  • 日本企業はデジタルの活用面で明らかに出遅れている。その根底に横たわる理由が、過去に成功してきたビジネスモデルである、人を走らせることで品質と生産性を向上させてきたという過去の成功例である。
  • 欧米や新興国はすでに、人ではなく、電子を走らせ、デジタル戦略に基づき事業構造そのものを変えつつ、圧倒的な生産性を実現している。
  • 第4次産業革命は製造業と非製造業の境目がなくなり、デジタルの力を掛け合わせ新たなカスタマーの欲求、要望に応えなくてはならない。
  • 競争環境も変わり、競合は思いもよらないところから出てくる。
  • 今後は、カスタマーの欲求、要望を満たすためには課題を見出し、デジタルのメリットを生かしながら課題解決を提案できるものしかリーダーになり得ることができない。
  • 課題の抽出力や課題解決の方向性を見いだす有益な思考方法として、「デザイン思考」がある。デザイン思考とこれまでのビジネス思考は相対するものではなく、現代の企業経営にはどちらも必要である。この、「両利きの経営」が企業リーダーには必須となってきている。

 

 

2. 「Why Digital Matters? - “なぜ”デジタルなのか」の紹介

本書を読んで、背筋が凍りつきました。

 

ここまで、欧米勢や新興国との間にデジタル活用の点で差がついているとは思っていなかったからです。

 

例えば、私自身もヨーロッパ域内の出張の時にタクシーを利用する機会も多いですが、今ではアプリケーションなしでの利用は考えられません。そもそもタクシーをつかまえるのに時間がかからないと言う点に加えて自分の好みの運転をするドライバー、待ち時間を少なくしてくれるドライバーの履歴をつけておき、同じ人に頼むことでスムーズな乗車が可能になるなど、自分の好みを反映させ、気持ちよく移動ができています。

 

これはデジタルを活用した一例に過ぎませんが、デジタルとの親和性の高いサービスが欧米だけではなく、アジアの各国でも当然のように利用されていると言われます。一方で日本はどうでしょうか。

 

規制などの壁が障壁となっていることもあるでしょう。ただ、企業、経営者、サービスの提供者が本当に顧客の利便性や課題のありかを認識しているのか。また、これらを一気に解消する手段としてのデジタルの可能性や利便性にどこまで理解を持っているのか。デジタルに対する見方そのものが問われています。

 

過去、日本はアメリカに追いつけ追い越せ回の精神で人と言うリソースを最大限駆使しながら事業を愚直にやってきました。その結果、一時はアメリカにする経済規模を誇る国やった事は間違いありません。そして、これを誇るべきです。

 

一方で、労働力不足が避けられない今後の状況に対して、人に過度に依存して、人を消耗させてしまう危険すらある、これまでの考え方や成功事例、ビジネスモデルをこれからも続けていくことには、経営戦略、事業戦略上でも非常に危険性が高いことです。

 

デジタルを中心に据えたビジネスモデルへの移行は遅かれ早かれどの企業も避けては通れない道です。これに残り乗り遅れる事はすなわち、企業存続そのものが危ういと言うことになります。

 

企業やビジネスマンであるわれわれは、培ってきた、サービスや商品の基盤は大切にしつつも、この資産や基盤をもとにデジタルの力を掛け合わせてどのように事業展開していくか。

 

それ以前に、われわれは企業としてビジネスマンとして誰の何の欲求や要望、課題を解決しようとしているのか。まずその見極めが重要であることを教えられます。著者は、顧客や消費者の心の欲求や要望を理解し、課題解決をサポートする有力な考え方として、「デザイン思考」を紹介しています。

 

日本では一般的ではないデザイン思考ですが、その肝である、顧客の立場になって考え、素早く商品やサービスをリリースし、フィードバックを回ながら高速に改善を図っていく、これらの考え方を理解し、事業に生かすことで、これからのデジタル大競争時代の勝ち抜きかたの方向性を示してくれています。

 

本格的なデジタル時代を前に我々が進むべき方向性を課題提起とともに明確に示してくれている良書です。

 

 

3.「Why Digital Matters? - “なぜ”デジタルなのか」の学びのポイント

日本だけが世界の経済成長から取り残されている のはなぜか?いくつかの要因はあろうが、 かつて「ヒトを走らせる経営」があまりにうまくいっていたがゆえに、「デジタル化」つまり「電子を走らせる」ことのインパクトの大きさを過小評価することになり、 結果としてデジタル・イノベーションに乗り遅れた 影響があるのは間違いない。欧米勢や新興国勢がこぞって「電子を走らせ」、ヒトの仕事を助けて生産性を伸ばしているのに対し、ヒトが奔走することで対抗するやり方を続けていては、苦しくなるのも当然といえよう。

今日、本企業全体が直面している人で不足にも大きく影響与える議論です。本文にも書いてありますが、デジタルの特徴の1つに、「電子は疲れない」と言う特徴があります。

 

そして電子は命令(コマンド) を正しくしておけば、間違いなく永久的に働いてくれます。これが意味するところは、同じことを繰り返し正確にやることが求められるを正しくしておけば、間違いなく永久的に働いてくれます。

 

企業の競争環境が緩むことがない中で、人道的な店からも電子が得意な事は電子に任せ、人が疲弊しない仕組みを作ることが重要です。

 

 

第4次産業革命は製造業だけの革命ではない。むしろ、製造業と非製造業の境目がなくなっていくところに最大のポイントがある。そして製造業と非製造業の境目がなくなるということは、非製造業にとっても他人事ではなく、文字通りすべての産業に直接の影響が及ぶというわけだ。これこそが、まだ始まったばかりの第4次産業革命が「革命」とまで称されている 所以 なのだ。

産業の垣根がなくなると言う事は、経営戦略上、我々が想像する以上に大きな意味を持つことになります。例えば、自動車産業ではイーロンマスクをしているテスラモーターが、今後、トヨタ自動車の最大の競争相手になるかもしれません。

 

トヨタの豊田社長も現場の競争環境に大変な危機感を感じられているコメントを出し続けていますが、豊田社長の想定ではおそらく既存のガソリン車、ディーゼル車を中心とした競争環境はもしかすると想定されてないのかもしれません。

 

 

これら 5大特長こそがデジタルの本質 である。見てきたようにこの5点は、 従来のフィジカルな世界では想像もできなかった、あるいはまったく不可能であったようなインパクトを発揮する。だからこそ第4次産業「革命」とまで呼ばれるような事象が次々に起きているのだ。企業のすべてのデジタル戦略はこの5大特長を生かすように設計しなくてはならない。逆にいうと、もしあなたの会社のデジタル関連の施策が、この5大特長をきちんと生かせていないとしたら、その施策にはまだ改善の余地があるということだ。(以下、著者追記)
1. 差分コストゼロ
2. 無制限
3. 時差ゼロ(リアルタイム)
4. 記録・分析・予測
5. 明細×組み合わせによるパーソナライズ

特に大事な要素として4番目と5番目が重要になると感じます。デジタルの世界ではほぼ全てのデータがID化され、消費者行動が膨大に蓄積される中で、これらのデータ資産を記憶、分析、予測できます。

 

今後の企業の競争力の一つは、これらのデータ資産から本当のカスタマー欲求、課題を見つけだす能力にあります。ただし、これまでと異なるのはそれを個別に届ける必要が出てくると言う点でこれまでの考え方と異なります。

 

 

欧米企業の多くは、 90 年代~ 00 年代に業務プロセスのERP(基幹業務システム)化、すなわち「インダストリー3・0」への移行を完了した上で、さらにインダストリー4・0に対応してビジネスモデルをバージョンアップしつつある。いっぽう日本企業の現状はといえば、グローバルに事業展開している大手企業でさえ、 実質的に「インダストリー2・5」 のレベルに留まっているケースも少なくない。(中略)ドイツ勢は、「工場の中」の品質それ自体で勝負するのではなく、「前工程」から「後工程」までを一気通貫につなぎ、エンド・トゥ・エンドのプロセスを「全体としての顧客価値」として提供することで、製造業の競争の土俵を変えようとしている。

欧州で働き始め、実感することとして、欧米系のビジネスマンは全体最適と言う言葉をよく口にします。彼らにとっては全体最適を壊してしまう部分最適は悪なのです。

 

ただ、個人的には個別最適と言うプロセスを深掘りしていくこと自体は価値があると考えており、これに全体最適の考え方が浸透し、プロセス間がつながることで、現場の欧米勢を出し抜く事は十分に可能です。

 

 

「デジタル・イノベーションの大競争時代」について見てきた。「十字フレームワーク」に習えば、縦軸(既存事業)と横軸(デジタル)の掛け算で、右上=顧客の心の欲求を満たす新たな事業モデルを見つけることが鍵になる。(中略)だが、そうした新しい事業アイデアを、あなたはどのようにすれば考えつくことができるのだろうか?(中略)こうした悩みを持つ世界中の企業が取り入れているのが、デザイン思考である。(中略)デザイン思考とは「手法」ではなく、「マインドセット」(考え方)なのだという。(以下、著者追記)
マインドセット① 「デザイン」は課題解決の手段
マインドセット② 顧客の立場になって考える
マインドセット③ プロトタイプ思考

既存の事業とデジタルを掛け合わせ新たな事業モデルを見つける、と言うのはこれまでビジネス思考にどっぷりつかってきた人々にはスムーズに理解するのが困難かもしれません。

 

これを組織として実現していくには、世代であったり、性別を超えた、多様性(ダイバシティー)の実現が鍵ですね。

 

 

ただ大切なのは、「タテ軸」と「ヨコ軸」という2つの異なる選択肢があることを理解したうえで、どちらを選択するか、を経営者が真剣に検討することだ。自社が「タテ軸つまり生産現場におけるカイゼンに集中する」か、「タテ軸×ヨコ軸の合わせ技、つまり従来の強みにデジタルの力を掛け合わせて合わせ技で右上を目指す」か、の選択だ。この2つがまったく異なるアプローチであるのはすでにおわかりだろう。 一番悪いのは、インダストリー4・0を過去数十年間ずっとやってきたカイゼンの延長線上にあると勘違いし、カイゼンの継続で4・0に対応しているつもりになってしまうことである。

既存の事業をより強くするか、既存の事業にデジタルを組み合わせて新たな領域に挑戦するのか?

 

これはまさしく経営戦略の課題そのものであって、トップの強いコミットとリーダーシップが求められます。

 

これを経営戦略の課題として捉えるか、一プロセスの改善の延長として捉える家の目線の違いが今後の企業の成長を大きく左右します。

 

 

デザイン思考とビジネス思考は一見、水と油のように、見事なまでに対照的である。しかし、現代の企業経営にはどちらも必要なのだ。対照的な思考法だからこそ、相互補完することができ、2つの思考法が相まってこそ、企業経営を正しい方向に導けるのだ。かつてはビジネス思考中心の経営だけで成長できたかもしれないが、これからはデザイン思考も取り入れなければ、事業は行き詰まってしまう。つまり、2つの思考回路を両立させ、デザイン思考とビジネス思考をハイブリッドして使い分ける「両利きの経営」が、これからの企業リーダーには必須になってきているのだ。

日本企業がこれまで培ってきた、突き詰めたオペレーションの改善やその文化を悪として、捨て去ることは行う必要はないし得るべきでもありません。

 

欧米企業は日本が得意とするプレーションの改善では過去に太刀打ちができなかったので勝負の枠組みを変えています。

 

もし日本がオペレーションの改善加えて、オペレーション間の統合、そして全体最適を果たせたならば相乗効果で、欧米企業を凌駕する強みを構築とすることができますので、強みとしての改善は大切にすべきさんです。

 

 

SAPジャパンによれば、日本企業のかつての典型的なERP導入では、総費用のうちパッケージソフトの購入費は 15% にすぎなかった。ハードウェアその他のインフラ費用が 10%。あとの実に 75% が、システムインテグレーション(SI)およびカスタマイズに充てられていたという。この 75% は当然ながら、発注主1社からしか回収できないコストである。

過去の経験から、カスタマイズ費用が多くかかっていると言う実感はありましたが、75%もの個別費用がかかっていたと言うのは驚きです。

 

 

3つめは、システム構築にスピードがより求められるようになってきたこと。経済のグローバル化はどんどん進み、国境を越えた企業の合従連衡や業界再編も加速している。モバイルを活用した消費スタイルの広がりなど、経営を取り巻く環境の変化も激しくなっている。そうした状況下では、経営体制をフレキシブルに変革していかなければ、企業は生き残れない。当然ながら、企業システムも、そうした経営体制の変革に機動的に対応しなければならない。作成に時間のかかるスクラッチ開発では間に合わなくなっているのだ。 自社専用にスクラッチ開発する場合、要求仕様の検討、設計からプログラミング、テスト、稼働までの期間が、もし 18 カ月で終われば早いほうである。少し大掛かりな基幹システムともなれば、3~4年かかることも珍しくない。

日本企業や我々ビジネスは個別開発や個別のチューニングがもたらす負の影響について、全体最適の視点と将来の環境変化への適応性と言う観点で柔軟なシステムを維持することの意味を深く考える必要があります。

 

 

そうした環境の中、日本人社員の発想で、つまり「ヒトが走る」ことを前提に、システムをスクラッチで作ったらどうなるか?海外事業では回らないことは明らかだろう。 日本企業にとって「アウェイ」である海外市場において、「インダストリー3・0」に移行した海外のライバル企業と互角に戦うには、日本企業も情報武装をバージョンアップさせる必要がある。また、事業領域がグローバル化すれば、国内事業と海外事業を一元管理する企業システムが、経営のガバナンスのうえでも求められるようになるだろう。業務用システムでERPを「使う」という国際標準に適応することも、今後の日本企業にとって生き残りの条件のひとつになっていくであろう。

過去の経験でも、買収後の企業の統合で問題になってくるのが、ERPの統合です。汎用性のある基幹システムを持つ事は買収後の統合をスムーズにし、M&Aを通じた成長をスムーズに果たすことで成長戦略にも貢献します。

 

自社のみの成長が困難になってきた今、外部のリソースを取り込むことで成長果たすならば、このシステムの統合をなるべく簡潔に、スムーズに行うための条件は下げておくことに限りますね。

 

 

4. 「Why Digital Matters? - “なぜ”デジタルなのか」の基礎情報

【書籍名】Why Digital Matters? - “なぜ”デジタルなのか
【著者】プレジデント社 企画編集部「経営企画研究会」 (編集), 村田 聡一郎 (監修)
【発行】プレジデント社
【発行日】2018/12/14
【頁 数】279ページ
【読了時間】4.0時間

 

【目次】
序章 日本型経営の「勝利の方程式」がなぜ通用しなくなったのか
1章 コマツ LANDLOG~顧客課題、社会課題を解決するオープンなデジタル・プラットフォーム
2章 第4次産業革命の本質は「デジタル・イノベーション」
3章 「デジタル」と「フィジカル」の本質的な違い
4章 日本の現実は「2.5」~インダストリー4.0の本質は「全体最適」
5章 デジタル・プラットフォーマーの時代~早い者勝ちの陣取り競争
6章 デザイン思考で顧客の「真の欲求」を見極める
7章 ケーススタディ:大企業病を克服したSAP
8章 企業システム構築の新常識
SAPからのあとがき

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